2020/11/23
液体窒素
投稿者: 山田英昭
「一瞬ビリっと来ますからね」
足の指と手の甲にできたイボがいよいよ気になり、病院で治療に臨んだ際に医師に言われた言葉のクスリ。
それほど症状が進行しない間は、市販の薬を塗布したり、膨らんで来た部分は、爪切りで適当に切除したりしていましたが、歩くのにいちいちピリピリ来るようになってきたからには、いよいよである。
「液体窒素で焼きますから、覚悟してください!」
実際にそう言われた訳では無いのですが、言葉のヘビーさに、ピン!と気合が入ったのは間違いない。
古い話で言えば、液体窒素なるものを初めて目にしたのは、中学校の科学の時間でした。
勉強が好きとは言えない性分でしたが、化学に関しては興味をそそられる内容ばかりで、ちゃんと聞いていたのかな?
バラの花や、テニスボールなどを一瞬にして凍らせる それ にひどく興味が沸いた頃です。
木っ端みじんに割れたテニスボールでしたが、数分もしたら元の木阿弥?じゃない、元の柔らかいゴム質に戻った事がとても新鮮に感じられて、
「コイツを手に入れることが出来たら、色んな面白い事ができそうだ!」
生意気盛りの少年には、そんな大きな展望を予感させる魔法の液体でありました。
術後に大きくなったイボに違和感を感じて、傍目にみてもいい感じはしないだろうと思えたので、絆創膏を張り付けて打ち合わせに臨むのですが、
「手どうしたの?」
関わらず気にかけて頂ける。
何も無しではグロテスクに見えてしまうし、ひょんな事で豆状に膨らんだものが潰れたら面倒そうなのでそうしていましたが、
「どっちにしても聞きますよ」。
【そうですね】
あの頃に抱いた感情は、けして面白くもなく、イボの治療というカタチで現実を突きつけられた次第です(苦笑)